温泉法施行規則

温泉法施行規則(平成19年7月20日最終改正)
(温泉の成分等の掲示)
第10条第2項

一.温泉に水を加えて公共の浴用に供する場合は、その旨及びその理由

加水の理由:
「源泉の温度が高温で、そのままでは一般の利用に浴用として提供ができないため加水しています。」など
加水の方法:
加水する場合の程度、水道水・井戸水・沢水等の種別を表示することが望ましいとされています。
加水以外の方法:
熱交換にはいろいろな方法があります。
自然冷却法:・源泉をある距離間流す。(草津の湯畑)(蒸発+伝導)
・貯湯槽に一時蓄える。(伝導)
・パイプを通して湯をある距離回らせる。(伝導)
熱交換器:・プレート式熱交換器等
・冷水(水道等)管に接触させる。
・温水発電
自然冷却はコストが安いため、昔からおこなわれていたが、蒸発・空気接触などで温泉成分が沈殿・揮発・酸化など変化(老化)する。
硫化水素を含む硫黄泉などは、硫化水素ガスを抜くことで浴室の安全対策となっていた面もある。
熱交換器は、効率よく温度を下げるため、温泉の老化が少ないが、温泉成分が機械を腐食させることが多く、初期コストもかかる。 (専門の温泉管理士に相談する)
注意:
加水しても温泉の成分に変化はありませんが、濃度は薄くなります。

二.温泉を加温して公共の浴用に供する場合は、その旨及びその理由

加温の理由:
「源泉の温度が低温(36℃以下)で、そのままでは一般の利用客に浴用として提供ができないため加温しています。」など
加温の方法:
通常は給湯器の熱湯から熱交換器で温泉水を昇温する。直接温泉水を加温するより、時間がかかるが、加温された温泉水が高温になることが少ないため、温泉水の変化を抑えることができる。
注意:
ガスを含む泉質の他はほとんど変化がありません。
泉質でガスを含む温泉水(二酸化炭素、硫化水素、放射能)では加温により空気中にガスは発散します。
加温は「源泉100%かけ流し」ではありません。

三.温泉を循環させて公共の浴用に供する場合は、その旨(ろ過を実施している場合はその旨を含む。)及びその理由

理由:
「衛生管理のため、循環ろ過通年使用しています。」等
一人の入浴によって、0.5gの皮脂、角質の剥奪などいわゆる垢が湯を濁らすといわれます。「かけ流し」ではこれを流すのに300~500リットルの湯が必要との計算もあり、資源の無駄遣いを防ぐためには、これらの垢はろ過されるのが好ましいといえます。
方法:
浴槽の湯は、底面と水面の回収口から、「集毛器」、「ポンプ」、「ろ過器」、「加熱器」を経て出湯口で浴槽に戻ります。「かけ流し」では、水面に浮かぶ汚れは排出できますが、底に沈む汚れは残ります。循環濾過では、底に沈む汚れも排出できます。
新湯注入:
新しい源泉を補給湯として、常時またはある時間ごとに湯口から注ぐことが基本です。
溢れた温泉水は循環すべきではありません。
注意:
衛生管理が行き届いていなければならない。
毎日、換水し浴槽内が清掃されていること。
循環装置の清掃・消毒が十分行われていること。

四.温泉に入浴剤(着色し、着香し、又は入浴の効果を高める目的で加える物質をいう。ただし、入浴をする者が容易に判別することができるものを除く。)を加え、又は温泉を消毒して公共の浴用に供する場合は、当該入浴剤の名称又は消毒の方法及びその理由公共の浴用に供する場合は、その旨(ろ過を実施している場合はその旨を含む。)及びその理由

理由:
通常消毒薬として用いられるのは塩素系薬剤です。厚労省の「レジオネラ症を予防するために必要な措置に関する技術上の指針」によりますと、「槽水中の遊離残留塩素濃度は、常に一定ではなく、入浴者数、薬剤の注入時間及び注入速度等により大きく変動するため、濃度は頻繁に測定して記録し、通常1リットルにつき0.2から0.4ミリグラム程度に保ち、かつ、最大で1リットルにつき1.0ミリグラムを超えないように努める等適切に管理を行う」とあります。
注意:
温泉水に塩素系の薬剤を使用することが適するかどうかわかりません。硫化水素、鉄、有機物などを含んでいるので影響が測定し難いからです。
酸性泉、塩化物泉、硫黄泉などは消毒の必要がない泉質です。
温泉水の浴用で病原菌の接触感染(皮膚感染)はありません。
塩素消毒については多くの議論があります。また、レジオネラ属菌の感染などで、特に温泉浴槽の衛生管理が厳しく指導されています。
団体客が増えて、浴槽が大きくなり、清掃が行き届かなくなったこと、客の入浴マナーが低下したことなども原因でしょう。